先にことわっておくと、こだまのお酒で「お燗で美味しくない」お酒はほとんどありません。
大吟醸だろうが生原酒だろうが活性にごりだろうが、ほぼ全てのお酒がお燗でもちゃんと美味しくなります。
(異論もあるとは思いますが事実です。そうでない、と思ってる方は「美味しくなる温度」を見誤っている場合がほとんどと考えます)
今度は逆の言い方をします。
ほぼ全てのお酒がお燗でも美味しいのは事実ですが、イコールお燗がベスト、とは限りません。
お燗も美味しいけど(今の時期は)冷酒の方がもっと美味しい、なんて例ももちろんたくさんある訳です。
さらに少し角度を変えて言うと、
このお酒は冷酒がめちゃめちゃ美味しいけどお燗もけっこうイケる、ってお酒もあれば
このお酒は常温からお燗が美味しいけど冷やすと良さが引っ込む、なんてお酒もありまして、
一般的にはこの後者が「お燗向けのお酒」なんて言われている気がします。
また、温めた酒のことを何でも「熱燗」という方がいますが、
熱燗とはおおよそ50℃以上のお燗温度を指す言葉であり、総称はあくまで「お燗」なのです。
ぬる燗(40℃前後?)上燗(45℃前後?)、そして熱燗というように使い分けて初めて意味を為します。
特に飲食店の方が「熱燗」を総称として使うと「ああ、わかってない店だな」と思われますのでご注意を。
また、チェーン居酒屋の超熱燗に辟易したのか何でも「ぬる燗がベスト」と思っている方も多々見掛けますが、
これもまた間違い。当店のパワフルなお酒たちはぬる燗ではその良さの半分も引き出せないものが多いです。
方法もね、そりゃ湯煎が美味しいさ。雰囲気もいいしワクワクするしね。
でもめんどくさかったらレンジでチンでもいいじゃない(笑)やらないより全然いいじゃない。
こうじゃなきゃいけない、なんて訳わからないつまらない決めごとに盲目的に従っても意味ないのです。
思い込み、固定観念を外していただき、まずはいろいろ試してみればいいんじゃない?
その結果どの温度が好みだったかは十人十色。仮に僕と違ったとしても問題なし。それがその人の正解。
・・・となると、当店のお燗のおすすめは「全部!」となってしまうのですが(笑)
このページでは「その中でも特にこれはお燗がめちゃ旨っ!」というものをご紹介してみます。
そう、僕は誰に何を言われようとも「僕が美味しいと思うお酒と温度」をお勧めすることに徹していきます。
それが地酒屋こだま流。好むか好まざるかは、その人次第。それでいいのだと考えます。
そして「熟成系」。
初めはこのページはお燗系のみのページだったのですが構築しているとごっちゃになってきました(笑)
要するに熟成系=お燗向けと言ってもいいほど、熟成酒はお燗に向いた酒質になることが多いのです。
日本酒はきちんとした管理をすれば何十年でも熟成を重ねて素晴らしい酒質に育ちます。
元々の酒質にもよりますが柔らかさ・丸み・深みを手に入れると同時にバニラやカカオや樽のニュアンスなど、
わかりやすく大雑把に言えば紹興酒やウイスキー・シェリーにも似たテイストにも変化していきます。
古酒、と呼ばれるのは3年以上の熟成を経たものが呼ばれるようです。
意外にすっきりしてエレガントなものから濃醇で癖のあるワイルドなものまで、その琥珀色の濃淡も含め、
元々の酒質と熟成温度の掛け算で、結果的なその酒質と色に辿り着くと考えてください。
熟成酒は初めはお口に合わない方も多いです。でも無理する必要はありません。
熟成させたクサヤの干物より新鮮なお刺身の方が食べやすいのと同じです(笑)
熟成酒と仲良くなるヒントのひとつは「相性のよい肴と一緒に楽しむ」こと。驚くくらい印象が変わります。
こだまではそれほどマニアックなものはありませんが、それでもかなりの熟成酒を在庫しています。
熟成酒の楽しさを覚えると食生活が一段と楽しくなること請け合いです。
まずはライトなところからスタートしてみてはいかがでしょうか?
【豆知識】
BYとは醸造年度(brewery yearまたはBrewing year)を指します。
日本酒の年度は7月1日に改まりますので、
25BYなら25年7月1日から26年6月30日までに造られたもの
20BYなら20年7月1日から21年6月30日までに造られたもの、となります。
花泉(福島県南会津郡)十ロ万(とろまん)25BY&24BY
花泉は全般的にお燗向けのお酒が多いのです。中でも特に蔵にお願いして一年&二年寝かせたこの十ロ万は、爽やかなマスカット香と米の旨みがバランスした柔らかくてめちゃ旨なお燗を楽しめます。
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北安大國(長野県大町市)居谷里(いやり)もち米純米原酒25BY
柔らかな甘口の北安、25BYからの挑戦が山廃仕込みの「居谷里」。癖のない酸に厚い甘み、お燗にした時に膨らむ旨みが極上です。居谷里には新酒の生もありますが、今お燗ならやっぱりこれ。
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新・今錦伝(長野県上伊那郡)自然共生「七」蔵内常温熟成 25BY
棚田をはじめとする地元産の美山錦に長野県発祥の七号酵母の組み合わせ、蔵内の常温で寝かせたので、枯れつつもじんわり深い米の旨みに程よい酸がバランスして、原酒なのに飲み飽きません。
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十六代九郎右衛門(長野県木曽郡)山廃純米 無濾過生原酒おりがらみ こだま別誂 24BY
2年の時を経て実に厚みのある味に成長しました。ガッツリした酸とパワフルな旨みに九郎右衛門ならではのウッディな熟成感がたまりません。和食はもちろんイタリアンとの相性も抜群です。
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黒松仙醸こんな夜に(長野県伊那市)雷鳥23BY&鹿20BY
長野に住む動物たち(雷鳥・鹿・山女・山椒魚など)をモチーフにしたユニークなお酒です。その中でも特にこの二つはまさにお燗向きの酒質。雷鳥はスッキリ系、鹿は濃醇系のお燗が楽しめます。
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天明(福島県河沼郡)純米吟醸 参号 亀の尾 おりがらみ生 24BY
天明では零号から伍号までお米の種類それぞれの特性を生かした酒造りをしています。中でも特に潜在能力の高い「亀の尾」を使った参号を2年寝かせました。冷やも美味いけどお燗、たまりません。
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